さて、しばらく間が空いてしまいましたがギターのお話しの続きです。
11弦ギターが終わりの始まりと申し上げました。
このギターは古楽器リュートを原型としています。調弦は普通のギターを3度高くして
あります。7弦からは一音ずつ下げて行きます。つまり7弦からは基本的に開放弦で
弾くことが多くなる楽器です。もちろん♭や♯が付けば、それに合わせて低音弦も
調弦します。
ギターという楽器で開放弦で弾くというのは左手が楽になる一方、音のコントロールが
できなくなります。コントロールとはビブラートを掛けることなどが挙げられますが、
この場合、最も困難なのが「消音」です。そう、撥弦するのではなく音を消す
テクニックが要求されるのです。この消音を文字で表現するのは難しいのですが、
左手は他の弦を押さえるのに忙しいので、右手で消します。右手の腹で消せれば楽なの
ですが、右手の腹で消すとフォームが崩れ、ただでさえ弦が多くてどこを弾いているのか
分からなくなるのに、さらに混乱を来します。
では、どこで消すか?
右手の親指で消します。つまり弾いた先から消して廻るのです。
これが筆者をギターから遠ざけた大きな原因の一つです。
前回もお話ししましたが、このギターはリュートの楽曲を弾くために開発された楽器
ですから、自ずとレパートリーはルネッサンス、バロックとなるわけですが…
ん?
バロックが好きだからこの楽器を始めたのですが…鶏と卵になってしまってますが…
とにかくJ.S.Bachを弾きたかったんです。楽器を弾かれる方はお分かりのことと存じ
ますが、Bachの曲というのは弾きづらいのです。難しいんです。
筆者のように才能もなければ、練習も嫌いな者にとっては弾けるわけがないのです。
でも、弾きたかった…それなりに練習しました。学業そっちのけで…
この楽器を始めて3年ほど経ってからは、大学での講義が忙しくなり、師匠の元を離れ
一人でひたすらBachと格闘する日々が続きました。
しかしこの状態になると音を楽しむのではなく、性格上、悲愴感が漂ってきます(笑)
大学の研究室に入ると連日の泊まり込み、練習、泊まり込み、寝る、泊まり込み…と
楽しみとは程遠い状況に陥ります。
様々なことに言えるのですが、筆者は性格的に楽しむのが下手なようです。かと言って
様々なことをちゃんとできるようになるわけでもない不器用さを持ち合わせています。
こうして、徐々に楽器と距離を置くようになり、社会人になってからはさらに時間が
取れなくなり、触れることもままならなくなっていきました。
それでもたまの休日には少し触れてみるのですが、今度はかつて弾けていた楽曲を
弾くことができなくなっていくわけです。
かれこれ20年以上まったくギターに触れることもなく過ごしてきたわけです。
その後、仕事を替えたりする中で、比較的時間にゆとりが出てきました。
ある時、「ギターを買いたい」という人に連れられて御茶ノ水のクラシックギター
専門店を訪れました。楽器店では予算に応じて、なんと5本の楽器を用意してくれて
いました。オーナーは「これから2時間、店は貸し切りになっていますので、
思う存分試奏してください」と…もちろん筆者は購入するつもりはなく伺ったわけ
ですが…
本当に2時間試奏させていただき(もちろん購入される方も弾いていますが)、
候補が2本に絞られました。ここまで絞り込みますとあとは好みの問題、購入される
方のお好みです。筆者はひとしきり弾かせていただいたので、バルコニーで一服。
その間、購入楽器は決定しました。無事お役目を果たし帰途についたのでした。
しかし、その晩から「再び」疼き始めたのです。
文章がきれいで、なんだか小説みたい。続きが気になります(*´ ˘ `*)
返信削除>アンさん
削除おはようさん♪
文章がきれいなんていわれたの生まれて初めて(汗
なんだか恥ずかしいけど、少しずつ綴っていきますので
ご贔屓に。
ありがとう。